西遊記百科
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第99回 九九の数、魔を滅し尽くす——三三の行満ちて道、根に帰す

観音菩薩が難の簿を数えると八十難で一つ不足。揭谛に命じて金剛に風を止めさせ師弟を通天河西岸に降ろす第八十一難が起きる。白亀が渡してくれるが岸近くで寿命を問わなかった恨みで水中に放り込まれ経典が濡れる。陰魔の嵐を一夜凌ぎ翌朝晒経石で経を乾かして陳家庄を訪ね深夜に密かに出発する。

孫悟空 猪八戒 三蔵法師 沙悟浄 通天河 白亀 晒経石 陳家庄 陳澄 八十一難 救生寺

八大金剛が師弟を東へ送り届けた後、五方揭谛・四値功曹・六丁六甲・護教伽蓮が観音菩薩の前へ参り「菩薩の法旨をいただいて暗中で聖僧を護ってきました。今日、聖僧が行満されましたので法旨を返納いたします」と申し上げた。菩薩が「よかろう」と喜び、続けて「唐僧の一行は道中どのような心持ちだったか」と問うた。

「まことに心が虔誠で志が誠実でした。難の帳簿をここに記しました」と揭谛が簿を差し出した。

菩薩が頭から読むと——

金蝉遭貶を第一難とし、出胎幾殺を第二難とす。満月に江に抛るを第三難、親を尋ね冤を報ずるを第四難。城を出て虎に遇うを第五難……(中略)……銅台府の監禁を第七十九難、凌云渡の脱胎を第八十難。路は十万八千里を経、聖僧の難の簿は分明なり。

菩薩が数えると八十難。「仏門は九九の八十一で真に帰す。一つ不足だ」とすぐに揭谛に命じた。「金剛に追いついて、もう一難を起こせ」

揭谛が一昼夜で八大金剛に追いつき、耳に「菩薩の法旨、違えるな」と囁いた。金剛が一気に風を止めると、師弟と馬と経が地上に落下した。


三蔵が大地に足をつけて「ここは」と驚いた。「早く着こうとして急ぎすぎた、少し休めということか」と八戒が笑い、沙悟浄が「そうだな」と言った。

水音が聞こえた。沙悟浄が「通天河だ」と言い、悟空が跳び上がって遠くを見た。「西岸です。師父、東岸に陳家庄がありましたね」と言うと、三蔵が「そうだった。あの時、白亀に渡してもらった。今度は舟もないし」と困った。

その時、大きな白い亀が岸辺で頭を出して「師父方、帰りでしたか。ずっとお待ちしていました」と声をかけた。悟空が「老亀、また頼むぞ」と言うと、老亀が岸へ上がり、馬・師弟四人を乗せて水面を平地のように歩いて東へ向かった。

半日以上かけて東岸が近づくと、老亀が「師父、以前お願いしていた仏祖への寿命の問い、お聞きしていただけましたか」と尋ねた。

三蔵が玉真観での沐浴から凌云渡での脱胎、霊山での礼拝まで、心が経典一筋で他のことを一切考えなかったために、老亀の寿命を問うことを失念していた。三蔵が沈吟して答えられないでいると、老亀はすぐに察して身を一振り——大きな水音とともに潜った。師弟四人と馬と経がすべて水に落ちた。

幸い三蔵はすでに凡胎を脱していたので溺れず、悟空が笑いながら神通を発揮して三蔵を岸に引き上げ、龍馬と八戒・沙悟浄も自力で泳いで上がった。経の包みと衣服・鞍鞠が全て濡れた。


岸で整理していると、天が暗くなり狂風が吹き雷電が走り霧が立ち込めた。陰魔たちが経を奪おうと一夜中荒れ狂った。三蔵が経の包みを押さえ、沙悟浄が担を抱え、八戒が白馬を引き、悟空が金箍棒を左右に振って護持した。夜明けになってようやく嵐が止んだ。

「天地も許さぬほどの公徳を持つ経だから、鬼神が奪おうとしたのです。経が水で濡れて陰を帯びたが、師父の正法身が経を押さえ、雷も電も霧も通さなかった。わしの純陽の棒がそれを護った」と悟空が言い、三蔵・八戒・沙悟浄がようやく理解した。

太陽が高く昇ると、師弟は経を高い崖の上に広げて乾かした。今もそこに晒経石が残っている。衣服も乾かしながら一人は立ち、一人は座り、一人は跳び回った。

経の包みを調べると、《佛本行経》の数巻が石に張り付いて剥がすと末尾が破れてしまった。三蔵が悔やむと、悟空が「心配しなくていい。天地が全でないように、この経も全でない——これも不全の奥妙を示すもの。人の力でどうなるものでもない」と笑った。


漁人たちが河辺に来ると「前年この川を渡って西天へ行った師父方ではないですか」と聞き、陳家庄の陳澄が知らせを聞いて飛んできた。「経を取り帰られたか。なぜ家に来られない」と拝跪して招くと、三蔵が衣服と経を収めて庄へ向かった。

陳清が香案を立てて迎え、救生寺に案内した。楼上に師弟四人の塑像が祀られていた。斎が何度も出され、八戒が「以前は食えなかったが今日は食えと言われる、なのになぜか胃が弱くなった」と不思議がった。

三更(深夜一時頃)、三蔵が「この人々はもう道が成ったとわかっている。昔から『真人は相を見せない、相を見せれば真人ではない』という。長居すると大事に遅れる」と囁いた。

師弟がそっと荷物を担いで山門へ向かうと、門に鍵がかかっていた。悟空が解錠法で二門・大門を開けて東へ向かうと、半空から八大金剛の声が「逃げた者たちよ、ついて来い」と呼んだ。師弟が香風に乗って空へ舞い上がった。

九九の難、今ここに全て揃い——八十一数、道を証して真に帰す。
晒経石に経の跡留まり——千古の霊山道、これに尽きる。