第94回 四僧、御花園にて宴を楽しむ——一妖、情欲を空しく抱く
弟子たちが朝廷で披露宴に招かれ、三蔵が詩を詠んで風流を愉しむなか、偽の公主の策略によって彼らは宮廷を追われることになる。
弟子三人が午門の外で宣召を受け、黄門官に連れられて殿内に入った。三人は揃って立ったまま拝礼をしない。国王が「三位は高徒か。名と出自を申せ」と問うと、悟空が前へ進もうとした。護衛が「立ったまま奏上せよ」と制すると、悟空が「出家者は一歩進めれば一歩進む」と笑い、三人がそれぞれ前へ出た。
三蔵が「陛下が師父を婿に招いたのなら、貴人を立ったままにするとは」と悟空が申し上げると、国王が慌てて侍従に「刺繍の墩を」と命じ、三蔵を座らせた。
悟空が東勝神洲から五百年の来歴を堂々と申し上げ、八戒が天蓬元帥から転生した経緯を鼻を振りながら語り、沙悟浄が巻簾大将から流沙河へ至った道を述べた。国王は喜びと恐れが交じり合い、婚礼を十二日に定めて「それまで御花園でお過ごしを」と命じた。
御花園は彩石の小道、彫り欄、桃李、嫩柳、凤台、龙沼——春花爛漫の名園であった。八戒は飯を三杯重ねて「やっと食べた」と腹を叩き、沙悟浄が「礼儀を」と諫めると「腹の中は誰も同じだ」と返した。
夜、左右に人がいなくなると三蔵が「猿め、またわしを罠にはめたな」と怒った。悟空が「師父が先母様の絣球の話をされたので、つい」と笑いながら言い訳した。「それより布金寺の老住持の言葉がある。火眼金睛で公主の顔を見れば真偽がわかる。十二日の拝堂の時に公主が出てきたら見定めます」
三蔵が「もし本物の女だったら婿になれと言うのか」と怒ると、悟空が「もし本物なら拝堂のときに大騒ぎして引き上げます。偽物なら同じです。ご安心を」と答えた。三蔵が「もう一度咒を唱えるぞ」と脅すと、悟空が「唱えないで、唱えないで」と平伏した。
翌日も宴が続き、国王が三蔵を永鎮華夷閣に招いて壁の四枚の金屏に描かれた春夏秋冬の詩を見せた。翰林の名士の詩に三蔵が感じるところあって和詩を詠んだ。
和《春景詩》——日暖けて冰消え大地均し、御園の花卉また更新す。和風膏雨に民沢を受け、海晏河清に俗塵を絶つ。
和《夏景詩》——斗は南方を指して白昼遅く、槐雲榴火光輝を競う。黄鸝紫燕宮柳に啼き、双声巧みに転じて絳帏に入る。
和《秋景詩》——香飄る橘緑と橙黄、松柏青青として降霜を喜ぶ。篱菊半ば開いて錦繡攒め、笙歌韻徹して水雲の郷。
和《冬景詩》——瑞雪初めて晴れて気味寒く、奇峰巧石に玉団の山。炉に獣炭を焼いて酥酪を煨め、袖手高歌して翠栏に倚る。
国王が「袖手高歌して翠栏に倚る——よい句だ」と賞讃し、教坊司に命じてこの詩に節をつけて奏でさせた。三人も留春亭で酒を受けてほどよく酔い、その日が暮れた。
三日四日と宴が続き、十二日の佳辰が来た。光禄寺の官が「駙馬府の設えも合卺の宴も五百席余り、全て整いました」と奏上した。
その時、内宮の官が「正宮娘娘がお召しです」と伝えた。国王が昭陽宮へ入ると、三宮皇后・六院嫔妃が公主を囲んで談笑していた。国王が「今日こそ佳期だ。合卺の宴へ」と告げると、公主が前に出て跪き「父王、一言申し上げます。弟子たちの顔が恐ろしゅうございます。どうか城外へ追い払ってから宴へ」と願い出た。
国王が「そういえば」と思い出し、殿上で弟子三人に向かって「関文を渡す。黄金十錠・白金二十錠の路銀を添えて早く霊山へ参れ」と告げた。
八戒が「当真に行くのか」と聞くと、悟空は黙って駅へ戻った。「二人はここで待て。外へ出るな。駅丞が何を聞いても適当に答えろ。わしは師父を守りに行く」
悟空が毫毛を一本抜いて吹きかけると、自分そっくりな分身が現れて八戒・沙悟浄と並んで座った。本体は身をひるがえして半空へ飛び、蜜蜂に変じた——翅は黄、口は甘く、尾に鋭い針。風に乗って朝廷へ飛び込んだ。
殿上に三蔵が国王の傍に刺繍の墩を与えられて座り、眉をしかめて焦っていた。悟空が静かに飛んで毗盧帽の上に止まり、耳元で囁いた。「師父、来ました。ご心配なく」
三蔵だけが聞こえ、周囲の凡人には聞こえない。三蔵がようやく心を落ち着かせた。
宮官が「合卺の宴の用意が整いました。鳷鹊宮にてお待ちです」と告げ、国王が三蔵を伴って内宮へ向かった。
邪主は花を好んで花が禍をなし——禅心が念を動かせば念に憂いが生ず。
蜜蜂一匹、帽の上に密かに潜みて——真偽の決着、次に迫る。