西遊記百科
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第九十一回 金平府、元宵の夜に灯を観る——玄英洞、妖風に師をさらわれる

金平府を訪れた師弟たちが元宵の賑わいに浸るなか、三人の偽仏が現れて三蔵法師を連れ去り、悟空は彼らを追って青龍山玄英洞の三犀牛魔王と激突する。

孫悟空 猪八戒 三蔵法師 沙悟浄 金平府 慈云寺 金灯桥 玄英洞 辟寒大王 辟暑大王 辟尘大王 元宵

玉華城を出て数日の後、師弟は天竺国の外郡・金平府へ入った。城門の外に慈云寺という大きな寺があり、住持僧が出迎えて師弟を迎え入れた。ちょうど正月十三日、元宵の三日前であった。

三蔵が大殿に礼拝し、僧たちと語らっているうちに住持が言った。「唐の御僧、ちょうどよいときにいらっしゃいました。今夜から十五日まで、この府では金灯桥に三つの大金灯を吊るす慣わしがあります。黄金の油——酥合香油で燈を灯すと、仏陀の化身が天から降りて霊験をお示しになります。御僧方もぜひご覧ください」

翌日、三蔵が宝塔に上がって窓を掃き清めていると、塔の高みから金平府の賑わいが一望できた。市中の人々が提灯をかかげ、道には紙花・彩幔が連なり、三日間の燈節の準備が整っていた。


十五日の夜、慈云寺の住持が師弟を金灯桥まで案内した。橋の上には三つの巨大な金灯がかかっており、酥合香油の芳しい香りが夜気に漂っていた。

住持が言った。「この油は一斛(いちこく)が五十両。三盞(さんさん)の大燈に毎年用意する油の量は合わせて四百八十斛——四万八千両もかかります。府内の富豪が毎年かけてくれます。この燈に仏陀の化身が現れると、翌朝には油が一滴も残っておりません。それゆえ皆、仏陀が天界へ戻られる際に召し上がると信じております」

三蔵が「まことに奇なる縁かな」と手を合わせていると、悟空が耳元で「師匠、あれは偽の仏陀ですよ。仏陀が油など飲むわけがない。何か妖怪の仕業です」と囁いたが、三蔵は聞かなかった。


子の刻(深夜十二時)が近づくと、突然黒風が一陣吹いて三つの金灯が揺れた。暗雲が湧き、風の中に朱紫金の光が瞬き、三つの巨大な影が橋上に現れた——いずれも仏陀の宝相を持つ姿であった。

橋上の人々が一斉に跪いて念佛を唱え始めた。三蔵も思わず橋の欄干に歩み寄って「南無阿弥陀仏」と礼拝した。

次の瞬間、三つの金燈が一斉に消えた。風が巻き上がり——三蔵の姿が消えていた。

悟空が「しまった、師匠を攫われた」と叫ぶと、住持たちが仰天した。


悟空が「八戒、沙悟浄は寺で師匠の行李を守れ。わしが追う」と命じ、筋斗雲を踏んで風の行く方角へ飛んだ。北東の方角——しかし黒風はすでに遥か彼方へ消えていた。

夜の空を駆け回っていると、野の路のかたわらで三人の羊飼いが三匹の羊を引いて歩いていた。悟空が降りて「老人、この近くに青龍山という山はないか」と問うた。

羊飼いの一人が「はい、この道を東北へ三十里ほど行った先に青龍山があり、玄英洞という洞窟がございます」と答えた。悟空が礼を言って飛び去った後、三人の羊飼いが雲に乗って消えた——実は四値功曹(よんちくのくじ)が三陽開泰(さんようかいたい)の形をとって現れた神将たちであった。


青龍山玄英洞へ着くと、悟空が洞口を金箍棒で叩いた。「妖怪、早く師匠を返せ」

洞の中から三頭の魔王が現れた。先頭が辟寒大王(へきかんだいおう)、二番目が辟暑大王(へきしょだいおう)、三番目が辟尘大王(へきじんだいおう)——いずれも太い角を持つ犀牛(さいのつの)の精であった。

辟寒大王が「わしらは毎年金平府で仏陀に扮して酥合香油を頂戴してきた。今年は唐の僧が面白そうなので連れてきたに過ぎぬ。行者よ、帰れ。師匠に指一本触れぬ」と言った。

「寝言を言うな」と悟空が棒を振るった。三魔が牛頭の鬼兵百余を率いて洞外に出て戦いが始まった。


悟空が三魔王と百五十余合打ち合ったが、三匹が交互に出てきて疲れを知らない。牛頭の小鬼たちも波状に押し寄せてきた。日が傾くころ、悟空が「今日はここまでだ」と棒を引いて慈云寺へ戻った。

「八戒・沙悟浄よ、師匠は玄英洞に捕らわれている。三匹の犀牛の妖怪が主だ。今夜もう一度行ってくる」と告げた。

夜になると、悟空が毫毛を一本抜いて蛍(ほたる)に変じた。洞の隙間から中に入ると、奥の石室に縄で縛られた三蔵が壁に寄りかかって目を閉じていた。

悟空が三蔵の耳元で「師匠、悟空です。縄を解きます」と囁いた。

三蔵が目を開けて「悟空か——早く」と言うと、悟空が縄を解こうとした瞬間、辟塵大王が「行者が来た」と洞内に怒声が響いた。悟空が慌てて三蔵を引いて走り出したが、三匹の魔王と鬼兵が四方から包囲し、三蔵はまた捕まってしまった。

悟空は一人で戦いながら洞外へ突き出た。


慈云寺へ戻ると、八戒が「師兄、師匠はどうでした」と問うた。

「会ったが逃がせなかった。今夜もう一度行く。今度は三人で」

深夜、三人で玄英洞へ向かった。八戒と沙悟浄が正面から打ち込み、悟空が脇から入ろうとしたが、三魔王が今度は一斉に出てきて八戒と沙悟浄の二人を取り囲んだ。

鬼兵の縄が飛んで八戒が縛られた。沙悟浄が助けに入るところへ辟塵大王が一撃を加え、沙悟浄もよろけて縄にかかった。

悟空が「まずい」と金箍棒を振り回して二人を助けようとしたが、三魔が代わる代わる攻めてきて抜け出せない。やがて八戒と沙悟浄は引きずられて洞の中へ消えた。

悟空が一人、玄英洞の外に立ち残った。

金燈会、妖を呼んで聖を攫わせ——玄英洞、縄もて師弟を縛す。
大聖一人、夜天に佇みて——明日の天計、まだ定まらず。