西遊記百科
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第八十七回 鳳仙郡、天に抗い雨を止む——孫大聖、善を説き霖雨を施す

三年の大旱魃に喘ぐ鳳仙郡を訪れた師弟たちが、天の理を説き、雷神の力を借りて恵みの雨を呼び戻す物語。

孫悟空 猪八戒 三蔵法師 沙悟浄 凤仙郡 郡侯上官 龍王敖広 瑞雨 米山 金錠

隠雾山を下りて大路に出てから数日歩くと、城壁が見えてきた。三蔵が「あの城は天竺国ではないか」と問うと、悟空が「違います。如来の居られる霊山大雷音寺は山の中の楼台殿閣で、城壁はありません。天竺国もまだ先です。あれは天竺の外郡でしょう」と答えた。

城に入ると、街は荒涼としていた。広場の軒先に青衣の役人たちが並んでいる中、八戒が「道を開けろ」と長嘴を突き出すと、役人たちが仰天して「妖精が来た」と転げ倒れた。三蔵が慌てて「わしは東土大唐から西天へ経を取りに行く者です」と説明すると、役人が「ここは天竺外郡の凤仙郡(ほうせんぐん)。三年来の大旱魃で、郡侯が法師を募って祈雨をお願いする榜を出しているところです」と礼をして言った。

榜文には三年来の旱魃の惨状が切々と書かれていた——斗(ます)一杯の粟が百金、束ねた薪が五両。十歳の女の子が米三升と交換され、五歳の男の子が人に預けられる。悟空が「祈雨などわしの幼い頃の遊びにすぎません」と笑い、役人が急いで郡侯に知らせた。


郡侯の名は上官(じょうかん)氏といい、清廉篤実な人物で民を愛する心が厚かった。轎も使わず歩いて市場まで来て、唐僧に対して街頭でひれ伏して礼をした。「下官は凤仙郡の郡侯、上官と申します。香を焚いてお師匠様のお越しをお待ちしておりました。どうか慈悲をもって神通を振るい、この窮民をお救いください」

府中で精進料理が出ると、八戒が飢えた虎のように平らげた。膳を運ぶ者たちが駆け足で往来しても追いつかないほど食べた後、郡侯が詩で旱魃の苦しみを語った。

天竺大邦の凤仙外郡を牧(おさ)める下官、
三年続けて旱魃に遭い、草も生えず五穀も絶えた。
大小の家は商いも立たず、十軒に九軒は泣いている。
三割の民が餓死し、残る一割も風前の燈火。
下官は榜を出して賢者を募り、幸いにも真僧が来られた。
一雨降らせて黎民を救ってくだされば、千金を持って厚恩に報いたい。

悟空が「千金のお礼を言われれば甘雨は一滴も出ません。功徳を積んでいるなら一雨送りましょう」と答え、郡侯を座らせて、八戒と沙悟浄に師匠の傍を守るよう命じた。悟空が真言を唱えると、東の空から一朵の烏雲が降りてきて、東海老龍王の敖広が人の姿に変じて現れた。

「大聖に呼ばれましたが、何にお使いでしょうか」と敖広が言うと、悟空が「この凤仙郡に三年雨が降らない。なぜ来なかったのか」と問うた。龍王が「雨を降らせるには上天の御旨が必要です。玉帝から命令がなければ動けません」と答えた。悟空が仕方なく龍王を海に返し、天宮へと飛んだ。


南天門で護国天王が「あの郡は雨が降らないのが定めです。郡侯が天に冒涜したことがあり、玉帝が三事を立てています——米山、麺山、そして黄金の錠前——この三つが尽きて初めて雨が降るはずです」と教えてくれた。

悟空が霊霄殿へ進んで玉帝に奏上すると、玉帝が「三年前の十二月二十五日、朕が三界を巡行した折、郡侯が天に捧げる精進の供物を犬に食わせ、口汚い言葉を吐いた。その罪を記して披香殿に三事を立てた。弟子たちを連れて見てくるがよい。三事が尽きれば雨の旨を降す」と仰せになった。

四大天師に連れられて披香殿へ行くと——高さ十丈の米山のそばで拳ほどの小鶏が嘴で少しずつ米を食んでいる。高さ二十丈の麺山のそばで金毛の哈巴狗(ラサ・アプソ)が舌で少しずつ麺をなめている。左側には鉄の架台に金の錠前が吊るされ、その下で灯明の炎が細い錠前の鎖を焼き続けている。

悟空が頭を抱えて引き下がると、天師が「大聖、案ずるな。人に一念の善慈があれば天は必ず動く。郡侯に善行を勧めれば、山も倒れ錠前も断ち切れる」と教えてくれた。


悟空が下界に戻り、郡侯に全てを告げた。「三年前の十二月二十五日、お前は斎天の供物を犬に与えて口汚く罵った。その日は玉帝が下界を巡行されていた日だった」

郡侯が額を地につけて白状した。「三年前の十二月二十五日、妻と口喧嘩になり、怒りに任せて供卓を蹴倒して供物を犬に食わせ、確かに汚言を吐きました。二年間ずっと悔やんでいましたが、天に見られているとは知りませんでした」

郡侯がすぐに本処の僧侶・道士を召集して道場を開き、天地に詫びの文書を申し上げた。城の内外の全住民に焼香念佛を命じると、善の声が街中に満ち溢れた。

悟空が再び天宮へ飛ぶと、直符使者がすでに郡民の改行文牒を持って玉帝へ向かうところだった。護国天王が「もう玉帝に奏上しなくていい。九天応元府で雷神を借りて雷を鳴らせば雨が来る」と教えてくれた。

九天応元天尊に請うと、天尊が邓(とう)・辛(しん)・張(ちょう)・陶(とう)の四将と閃電娘子(稲妻の女神)を差し向けてくれた。半空に雷が轟き、稲妻が走ると、凤仙郡の人々が三年ぶりに雷と電光を見て一斉に跪き、香炉を頭の上に捧げて「南無阿弥陀仏」と唱えた。

その一声の善念が上天に届いた——披香殿の米山と麺山が轟音とともに崩れ落ち、金の錠前の鎖が断ち切れた。玉帝が旨を降した。「凤仙郡界に今日今時、三尺と四十二滴の雨を降らせよ」

人の心に一念の善が生まれれば——天地はことごとく知る。
善悪に報いなければ——乾坤には必ず私があろう。

雨は河を倒し海をひっくり返すように降り注ぎ、枯れた苗が潤い、朽ちた木が蘇った。雨が止むと悟空が「雨部・雷部・雲部・風部の神将方、人々に真の姿を見せてください。そうすれば後々も信じて供養するでしょう」と願い出た。雲が割れて四部の神々が真の姿を現すと、凤仙郡の全住民が額をついて礼拝した。

悟空が「五日に一度の風、十日に一度の雨でまたお越しください」と神々に頼んでから地上に降り、「民も安んじた。出発しましょう」と三蔵に告げると、郡侯が「どうかもう少し」と引き留めて宴を設けた。半月ほど留まる間に「甘霖普済寺(かんりんふさいじ)」という寺も建てられ、師弟四人の生祠(せいし)が安置された。城の外三十里まで見送りが続き、人々は涙ながらに見えなくなるまで見送った。

碩徳の神僧が普済寺を残し——斉天大聖が広く恩を施す。