西遊記百科
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第61回 猪八戒、力を助けて魔王を敗る——孫行者、三度、芭蕉扇を調す

悟空が扇を持ち帰る途中、牛魔王が八戒に化けて扇を奪い返す。八戒が加勢して夜通し戦うが決着がつかない。牛魔王が大白牛に変化すると悟空も法天象地に変化、四大金刚・哪吒も参戦。哪吒が火輪で牛魔王を制し、罗刹女が本物の芭蕉扇を差し出す。悟空が四十九扇ふるって火焰山の火を永久に消す。

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悟空が芭蕉扇を肩に担いで帰る道、牛魔王が後をつけて「扇の運用法まで聞き出したか。正面から奪っても定風丹があるから吹き飛ばせない。では八戒に化けて騙し取ろう」と思案した。

牛魔王は七十二変を使って八戒に変化し、前方から迎えに来る振りをして「師兄、師父が心配して私に迎えに来させた」と言った。悟空は勝って浮かれていたため「そうか」とすっかり信じて扇を「少し持ってやろう」と渡してしまった。

牛魔王は扇を受け取ると本来の姿に戻り「猿め、俺がわからなかったか」と言った。悟空は「墓穴を掘った」と顔を赤らめて棒を振るったが、牛魔王は扇で一振りした——しかし定風丹が体内に定着していたため悟空はびくともしない。牛魔王は扇を収めて宝剣で戦い始めた。


二人が半空で激しく戦っているところへ土地が八戒を案内してきた。八戒が「師兄、来たぞ」と叫んで九歯の鈀を振るうと、牛魔王は一昼夜の戦いで疲れた上に八戒の加勢が得られなくて退き始めた。火焰山の土地が阴兵を率いて「大力王、罗刹女に扇を渡せ」と迫ったが牛魔王は聞かなかった。

玉面公主の命で摩云洞の妖たちも出てきて加勢した。八戒が後退し悟空も包囲を飛び抜けて退いた後、三人で謀って「洞門を叩き壊して帰る道を断ち切ろう」と決め、再び攻め込んだ。

一夜明け方まで戦い、ついに牛魔王は盔甲を脱いで棒を捨て、大きな白鳥に変化して空へ飛んだ。悟空が見て取って海東青(タカ)に変化して飛んで首に噛み付いた。牛魔王が黄鷹に変化すると悟空は烏鳳に。白鶴になると丹鳳に。香獐になると飢えた虎に。金銭花班の大豹になると金眼の狻猊(ライオン)に。悟空が象に変化すると——牛魔王は元の大白牛に戻った。

頭は山岳のごとく、眼は閃光のごとく、角は二座の鉄塔、牙は刃のごとく。 頭から尾まで千余丈、蹄から背まで八百丈。

悟空も本来の姿に戻って「長ぜよ」と叫び、身長万丈・頭が泰山・目は日月・口は血池・手に万斤の鉄棒で正面から打ちかかった。二人が山を揺るがす大激闘を繰り広げる中、金頭揭諦・六甲六丁・護教伽藍の神々が四方を囲んだ。

さらに托塔李天王と哪吒太子が天の命を受けて天兵を率いて駆けつけた。哪吒が三頭六臂に変化して斬妖剣で牛の頭を斬ると新しい頭が生えてくる。十数回斬っても次々と生えてくるので、哪吒は火輪を牛の角に掛けて真火を吹いた。炎が燃え盛って牛魔王は「命だけは、佛門に帰順する」と叫んだ。

哪吒が「命を惜しむなら扇子を出せ」と言うと「芭蕉洞の妻が持っている」と答えた。縄を鼻孔に通して引いていくと、悟空も四大金刚・天王・八戒・土地の神々と共に芭蕉洞へ向かった。


罗刹女は外の喊声を聞いて牛魔王が捕らえられたと知ると、鈎珥環を外し飾り服を脱いで道姑のように青髪をまとめ、白の素服を纏い、一丈二尺の芭蕉扇を両手で持って出てきた。金刚・諸聖・天王父子を見て慌てて跪いて拝礼し「どうか夫婦の命をお助けください。扇は孫叔叔が使われるよう差し上げます」と言った。

悟空が扇を受け取って火焰山へ向かった。力いっぱい一扇すると火が消えた。二扇すると涼しい風が吹いた。三扇すると雨が降り始めた。

三蔵は「悟空、火焰山の火がまた出ないか」と心配した。罗刹女が「四十九扇すれば永久に火の根が絶えます」と言うと、悟空は力を込めて四十九扇した。大雨がざあざあと降り注いで、火のある所には雨が、火のない所には晴れた天が広がった。

翌朝、師弟一行は馬と行李を整えた。約束通り扇を罗刹女に返すと、罗刹女は「ありがとうございます」と受け取り、呪文を唱えて杏の葉ほどに縮めて口に含み、礼を述べて山へ戻った。後に罗刹女は隠姓で修行を積んで正果を得たという。

師弟四人は身体清涼・足元潤いやかに、西の大路を進んだ。

坎離既済して真元合し、水火均平にして大道成る。