西遊記百科
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第四十回 嬰児、戯れ化して禅心を乱す——猿馬、刀を帰して木母、空となる

烏鶏国の偽国王が捕らえられ、国に平穏が戻るが、師弟四人は厚いもてなしを断って再び西へと旅立つ。半月後、ある高い山で赤裸の子供に化けた妖怪に遭遇し、三蔵法師はその慈悲心ゆえに子供を救おうとするが、結果として妖怪に連れ去られてしまう。

孫悟空 猪八戒 三蔵法師 沙悟浄 乌鸡国 紅孩児

師弟一行が城に着くと、真の国王が帰ってきたと分かった途端に、朝廷は喜びに沸いた。太子と皇后は号泣して国王に駆け寄り、文武百官も跪いて再会を喜んだ。

悟空が菩薩と太上老君が力を貸して妖魔を退治した顛末を話すと、一同は伏して礼をした。偽国王は三年間、玉座で宮中を騙し続けた全真道士の妖怪だったことが明らかになり、今は悟空によって退治されていた。真の国王が改めて玉座に上がり、大赦を宣言した。

国王は唐僧師弟に留まるよう求め、金銀財宝を贈ろうとしたが、三蔵は「弟子はただ関文に印をいただければそれで十分です。急いで西天へ向かわなければなりません」と固辞した。国王は宝林寺の僧たちに封賞を与えた。

宮廷の絵師が呼ばれ、師弟四人の容貌を描き取って金鸞殿に掲げられた。

出発の日、国王は后妃・太子・諸臣とともに城外まで見送り、龍輦を降りて別れを告げた。「師父よ、西天から経を持って帰る際には、ぜひまたこの国に立ち寄ってください」と涙をこらえて言うと、三蔵は「お言葉に従います」と答えた。


師弟四人は羊腸の道を辿りながら灵山を目指して歩み続けた。秋の終わりから冬の始まりに差し掛かり、

霜に染まった紅葉の林は細くやつれ、 雨に熟した黄粱は処処に満ちる。 陽の温かさに嶺の梅が暁を開き、 風に揺れる山の竹が寒い声を立てる。

半月あまり歩いた後、また一つの高い山が前に現れた。師匠は馬の上で心を乱し「また険しい山だ。また妖怪が出るかもしれない」と声をかけた。

悟空は「ただ歩いてください、師匠。老孫が守ります」と答えた。

頂は空の果てに届き、 谷は地底のように深い。 山頂には常に白い雲が立ち込め、 山の裏には古い魔の洞が潜む。

師弟が山中に踏み込んだとき、突然山の凹地から一筋の赤い雲が九霄まで立ち上り、一団の火気に凝集した。悟空は大いに驚き、師匠の足を掴んで馬から引き降ろした。「妖怪が来た!」と呼ばわり、八戒は鉄鈀を、沙悟浄は宝杖を構えて師匠を囲んだ。

空中の妖怪は師弟が師匠を守り固めているのを見て「あの白い顔の和尚はまさに金蟬長老の転身——あの肉を一口食えば長寿になれる。しかしあの三人を崩せない。正面から攻めては無理だ。善で騙す方法しかない」と思い、赤い光を散らして降り、山の坂の中で七歳の裸の童子に化けた。麻縄で手足を縛られて松の梢に高く吊るされ、「助けてくれ!助けてくれ!」と叫んでいた。

悟空が「師匠、あの赤い雲が消えた。歩きましょう」と言っても、しばらく歩くと「助けてくれ!」という声が聞こえてきた。三蔵が「あれはどこかの子供の声ではないか」と言うと、悟空は「師匠、慈悲心を少し抑えてください。あれは蛇精が昔の知己の名を呼んで引き寄せる手です。答えれば元神を奪われます」と言った。

師匠は黙ってまた歩いたが、声はまたした。三蔵は「あれは人間の声だ。妖怪に声があって応答はない。あの声は呼べば応える——きっと苦しんでいる本物の人間だ」と言い張った。

悟空が「あの倚草附木という話を知りませんか。蟒蛇が年経つと人の名を知って呼ぶのです。一声応じると元神が抜かれて夜には死に至ります。ここは凶多くして吉少なし。歩いてください」と言っても、師匠の目には慈悲が勝った。

悟空は縮地法で師匠たちを先に歩かせ、自分は棒を後ろへ指して山の妖怪を切り離した。しかし師匠が山の後ろからまた声が聞こえたと言い張り、八戒まで「師匠の言葉は正しいのでは」と言い出した。

三蔵が怒って「この猿め、あれほど言っているのにまだ邪魔をする!まこと無慈悲な!」と怒鳴り出した。悟空はもう何も言わなかった。前を向くと確かに松の梢に赤裸の童子が吊り下がっていた。

「坊や、お前はどこの子だ、なぜ吊るされている?」と師匠が問うと、童子は涙をこぼしながら流暢な嘘話を語った——父は大金持ちだったが騙されて没落し、賊に打ち殺され、母は拉致され、自分だけがここに吊るされた、三日三晩だ——と。

師匠は「下ろしてあげなさい」と命じた。悟空が「俺には親族がいると言えるのか?外公・姑娘・姨夫・族伯・堂叔・堂兄と言えば全員出てくる。谎がばれている」と言うと、童子はますます泣いて「おります、全員います」と言い張った。

師匠に言われた八戒が近づいて縄を解いた。師匠は「背負ってあげなさい」と言った。悟空は「師匠……」と口を開きかけて止まった。緊箍咒が怖かった。

悟空が背負って歩き出した。背中の童子が重くなってきた——最初は軽かったのに、数里歩くと五百斤ほどになった気がした。悟空が「法術を使ってるか?」と気を引き締めると、突然空中から強風が吹いて童子は姿を消した。

師匠が「子供は?」と振り向くと、悟空の背中には誰もいない。「妖怪が攫っていきました!」と悟空が叫ぶと、師匠の顔色が変わった。

見回しても師匠は無事で、沙悟浄も白馬も行李もある。しかし八戒の担いだ荷の片方が軽くなっていた。沙悟浄が確認すると、行李の中に書かれた一張の布が風に揺れていた——「哈哈」と笑ったような字で、紅孩児と記されていた。

悟空は師匠に「あの子は紅孩児という妖怪です。師匠のことは師匠だと思っている——今は拉致されていません。しかし行李の中の何かを持っていった。荷物を確認してください」と言った。

師匠は震えながら、これから先どうなるのかと悟空を見つめた。悟空の目には、まだ戦う意志が光っていた。