西遊記百科
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第三十五回 外道、威を施して正性を欺く——心猿、宝を獲て邪魔を伏す

悟空は偽の葫蘆で銀角大王を欺こうとするが、逆に本物の葫蘆に捕らわれ、その後、観音菩薩の導きで金角・銀角の正体が太上老君の童子であったことが明かされる。

孫悟空 猪八戒 三蔵法師 沙悟浄 金角大王 銀角大王 観音菩薩 太上老君 平頂山 蓮花洞

宝物を袖に収めた悟空は洞を抜け出して本来の姿に戻り、大声で呼ばわった。「精怪よ、門を開けろ!」小妖が「何者か」と問うと「者行孫が来た、と報告せよ」と言った。

金角は「孫行者は柱に縛り、者行孫は葫芦に入れてある。そこへまた行者孫が来るとは、兄弟が全員来たのか?」と驚いた。銀角は「葫芦を持ってすぐ仕留める」と外へ出た。

「お前のその葫芦はどこから来た?」と悟空が問うと、銀角は得意げに葫芦の由来を語り出した——混沌初分の頃、太上道祖が女媧に化けて天を補い、崑崙山の脚元に仙藤を見つけ、その藤が結んだ紫金紅葫芦がこれだと。

悟空は「老孫の葫芦も同じ仙藤から来た。ただし俺のは雄で、お前のは雌だ」と言った。銀角は「雌雄どちらでも人を装填できればよい。先に試してみせろ」と言った。

悟空は空中に飛び上がり、葫芦の底を天に、口を地に向けて「銀角大王!」と呼んだ。銀角は思わず応じ、たちまち葫芦の中に吸い込まれた。悟空は「太上老君急急如律令奉敕」の帖を貼り付け、洞口へと向かった。

揺れる葫芦からカラカラと音がした。悟空は「発課の筒みたいだ」と笑いながら山道を歩んだ。


蓮花洞の入り口に着くと、金角はまだ中にいた。悟空は洞を壊そうと棒を振り上げたが「師匠や八戒たちがいるのでそれもできない」と思い直し、「精怪よ、出てこい!」と叫んだ。

金角は外に出て来て「兄弟の銀角は?」と問うた。悟空は「葫芦に入れた。これを見ろ」と葫芦を揺らすと確かにカラカラと音がした。金角は怒り狂い、七星剣を抜いて悟空に切りかかった。悟空は棒で応じて空中戦となった。

二十余合の後、悟空は先ほど奪った紫金紅葫芦(銀角の本物の宝)を使うことにした。「金角大王!」と呼ぶと金角は応じてしまい、葫芦の中に吸い込まれた。

しかし悟空が洞に入ろうとしたとき、空中から声がした。「孫悟空、待ちなさい」観音菩薩が善財童子と木叉を伴って現れた。

「この葫芦と玉浄瓶は太上老君の練丹の器です。金角と銀角の二匹は、もともと老君のもとで丹炉の番をしていた金炉童子と銀炉童子。私が彼らを借り受け、唐僧の難として仕組んだのです。あなたが宝物を奪うことも分かっていました」

悟空は「菩薩がわざわざ取経の難しさを試されたわけですね」と深く礼をした。「では宝物をお返しします。師匠を助けてください」と宝物を差し出すと、菩薩は童子を呼んで葫芦を回収した。金角・銀角の二匹は再び童子の本来の姿に戻り、菩薩に連れられて去った。


悟空が洞に入ると、まだ大小の小妖が残って逃げ惑っていた。悟空は三頭六臂に変化して鉄棒を三本にし、左右前後を打ち回った。小妖の群れは虎の中の羊のごとく崩れ散り、洞の中はたちまち平らになった。

梁に吊るされた八戒を見ながら「よう、耳は無事か」と笑い、縛めを解いた。続いて沙悟浄、三蔵法師、白馬、行李を順に解放した。

三蔵は「悟空よ、よくやってくれた。まさか葫芦や縄にこんな秘密があったとは」と深々と礼をした。八戒は「だから言ったんです、師兄に頼めばすぐだって」とけろりとした顔で言った。

師弟四人は平頂山を後にし、再び西への大路を歩んだ。