第25回 鎮元仙、取経僧を追い捕らう——孫行者、五庄観を大いに乱す
鎮元大仙に捕らえられた師弟一行が五庄観へと連行され、悟空が奔走するも逃れられず、ついには霊木を蘇らせる約束と引き換えに解放される物語。
鎮元大仙が変装した行脚の仙人として師弟一行の前に現れ「万寿山五庄観の主だが、人参樹を倒したことを白状しろ」と迫った。悟空が棒を振るって打ちかかると大仙は祥雲に飛び上がり、袍袖を一振りすると師弟四衆と白馬を丸ごと袖に収めてしまった。
五庄観に戻ると大仙は一人一本の柱に縛りつけ、龍の皮で作った七星鞭を水に浸して「三十回打て」と命じた。悟空は腰をひと曲げして両脚を熟した鉄のように変えてしまったので鞭の痛みは感じなかったが、師匠たちが縛られているのは心苦しかった。「師匠や八戒・沙悟浄は打たれると辛い。俺が代わりに打たれます」と名乗り出た。大仙は「この猿は悪さはするが孝義はある」と言いながら三度合計九十回の鞭を悟空に打たせた。
夜、悟空は縄を体を小さく縮めて脱け出し、師弟全員を解放して観を抜け出した。次の日の明け方に追いつかれた大仙は再び袍袖で一行を収め、今度は布と漆で三蔵・八戒・沙悟浄の体を包んで動けないようにし、悟空を油锅で揚げようとした。しかし悟空は石獅子を自分に変化させておいて元神で空中に逃れた。石獅子が鍋に入れられた瞬間に鍋が割れて油が全部こぼれた。
大仙はついに苦笑して「この猿には手が出ない。唐僧を解放してやる代わりに人参樹を蘇らせよ」と条件を出した。悟空は「お安いことです。三日以内に戻ります。師匠たちをよく世話してください」と約束し、師匠に「三日待ってください。呪を念じないでください」と言い置いて東洋大海へ向かった。
悟空はまず蓬莱仙境を訪ねて福星・禄星・寿星の三老に会った。三老は「霊根の仙木に効く薬方は私どもには知らない」と頭を振った。次に方丈仙山の東華帝君を訪ねると「我が九転太乙還丹は生霊は治せるが仙木の根は治せない」と言われた。瀛洲に渡って九老に会っても答えは同じだった。
悟空は三日の期限が迫るのを焦りながら落伽山の紫竹林へ向かった。観音菩薩は紫竹林で講経の最中だったが守山大神に呼ばれて出てきた。悟空が事情を話すと菩薩は「なぜもっと早く来なかったのですか。あの人参果樹の霊根は草還丹——私のところの浄瓶の甘露水で治せます」と言った。「経験済みですか?」「太上老君がかつて私の楊柳枝を丹炉で焼いて乾燥させて返してきたことがある。それを瓶に挿して一昼夜置いたら元通り青葉が生えた」
悟空は「なんという幸運だ!焼いて枯れたものすら蘇らせられるなら、倒した木など問題ない!」と喜んだ。菩薩は「みんな林を守っていなさい。私が行ってきます」と白鸚鵡を従えて悟空とともに五庄観へ向かった。
五庄観では福星・禄星・寿星の三老も大仙を訪ねて「三日五日の猶予くらいは与えて呪を念じないよう唐僧に言い聞かせましょう」と取り計らっていた。三蔵は「念じません、念じません」と繰り返した。八戒は寿星の帽子を取って「加冠進禄だ!」とふざけて笑わせ、福星の袖の中を引っ掻き回して果物を探そうとした。大仙も笑って「この和尚は礼儀知らずだが憎めない」と言った。
やがて祥雲が輝いて観音菩薩が到着した。師弟四衆も大仙も三老も揃って後園へ向かった。枝が散り根が露出した枯れ木の前で菩薩は悟空に手のひらを出させ、楊柳枝を浄瓶に浸して「起死回生の符」を手のひらに描いて「この手を木の根の下に当てなさい、水が出てきたら十分です」と命じた。
悟空が拳を握って根の下に突き入れると、やがて清らかな泉が湧き出た。菩薩が杨柳枝に甘露水をつけて枯れた枝々に振りかけると——みるみるうちに根が固まり幹が直立し、葉が繁り青々とした枝が広がって、二十三個の人参果がまた実をつけた。
大仙は心から喜んで「南海菩薩の大法力に感謝します。行者とは誠に弟兄の縁を結ぶべき者だ」と言い、改めて黄金の皿に人参果を一個ずつ盛って全員に振る舞った。師弟四衆も大仙も三老も菩薩も揃ってその宴で果実を賞味し、豊かな談笑の中で夜が更けた。
翌朝、三蔵が暇乞いをすると大仙は笑顔で見送った。「天地一家の縁だ。次に来る時はまたゆっくり」大仙と行者は八拝の兄弟の礼を交わし、師弟四衆は西への大路へと踏み出した。